敬語について その1
日本語学習において、大きな壁となるものの一つ。
それが敬語。
別に日本人だけが敬語を使っているわけではないのだが、
表現形式が異なるので苦労する学習者が多い。
たとえば、尊敬語と謙譲語を取り違えたりとか。
まあ日本人も使い慣れていないと、なかなか正しい敬語は使えないもの。
大学生なんかが就職前にいろいろと講座を受けるのもその表れだろう。
というわけで、まずは敬語について、簡単に絵を描いてみた。
まず友人や家族と話すときに使われる常体(普通体)からどうぞ。
心理的距離間が近い相手に対しては、言葉遣いに気を付ける必要はほぼない。
逆に使うと、距離感が生まれて気まずい感じになる。
まるで、夫婦喧嘩の翌日の会話のように。
次に、先輩など目上の人と話すときに使う敬体(丁寧体)。
ここで注意すべきポイントは、「する」のは相手の行為だということ。
自分の行為の場合だと、遜って謙譲語を使うこともできる。
この場面では、ただ言葉遣いを丁寧にして相手に敬意を表している。
つまり、まだ立場の上下の違いはそれほど大きくない。
そこが尊敬語や謙譲語との違いと言ってもいい。
あと、相手がどういう人物か分からない時、
とりあえず丁寧に対応しておこうという場面でも使える。
次に尊敬語。
相手のこと、または行為を尊重して表現することで、相手を自分より上に置く。
立場の違いがはっきり表れている。
ここで一つ疑問。
尊敬語を目上に使うのなら、先輩にも使ったほうがいいかどうか。
確かに使っても間違いではないと思う。
ただし、丁寧体と尊敬語では彼我の心理的距離感、そして何より立場が異なる。
先輩はあくまで先輩。
職務上では同僚であり、職位の違いがない場合だと丁寧体で十分だと考える。
親しみも必要だし。
その点、尊敬語は職位も上位である相手、またはお客に使うような言葉遣い。
立場の違いが鮮明だ。
「敬遠」という言葉があるが、「敬う」ということは「遠ざける」こと。
相手と距離を置くことで、敬意を表している。
逆に言えば、一番親近感が持ちにくいことでもあるが…。